法政大学第二高等学校 数学 入試分析完全版
合格ラインの目安は80点——川崎学舎の合格者を見てきた私達が目安とする点数です。3年間、手も足も出ない超難問は1問も出ていません。標準問題を取りこぼさない人が受かる試験です。
過去問を見た。色々な記事を見た。でも、難しいことは分かった。具体的にどう難しいのか、どんな単元がどんな難しさで出るのか、そしてどこをどう対策すればいいのかは分からない。本気で法政第二に合格しにいく。そんな受験生のために、この記事を作りました。3年分の全問分析をもとに、入試の分析から、これからの勉強の方針までお伝えします。
法政第二の正体 ― どんな子が、受かるか。
I診断
法政第二の数学は、「速く・正確に・最後まで解き切れる子」が受かる試験です。3年分の問題を1問ずつ分析しました。数字で見ていきましょう。
II6つの軸で見る出題傾向
数字は当塾の推定です。右端の数字は各軸の目盛りの上限。「記述で書かせる割合」の参考線43%は難関私立入試による参考値で、法政第二は57問中3問=5%です。
数字は当塾の推定です。3つとも中央より左=全体の平均より軽い側。大半の問題は習った型どおりに解け、自力で方針を立てる場面があるのは、誘導つきの後半3大問だけです。
この分析を見てわかる通り、法政第二の入試問題は「解きやすい」部類に入ります。ひらめきを必要とする問題も、初見で考えて解かなければいけない問題も出題の頻度は少ないです。つまり、「見たことがある問題」を「最後まで正確に解き切る」力が求められているということです。揺るがない基礎力を身につけることが合格に何より大切です。
受かるのは、速く・正確に・最後まで解き切れる子(初見でひらめきが要る問題は0問)
ほかの人気校とくらべても、はっきり易しい側(手が出ない難問は3年間で0%)
難易度の物差し ― 30秒だけ準備する
I難しさは4段階で測る
この記事で使う難しさの物差しを説明します。30秒で掴みましょう。
II3年間、42問の出題難易度を比べると
| 物差し | 問題数 | ひとことで |
|---|---|---|
| C やさしい | 1問 | 全員が取る一段目。数は少なめ。 |
| B ふつう | 26問 | この試験の主役。多くはここ。 |
| A 差がつく | 15問 | 標準の一段上。合否を分ける層。 |
| S 手が出ない | 0問 | 3年で1問もなし。 |
3年分・42問の内訳(当塾の推定)。CとBを合わせた標準が42問中27問=約3分の2です。
Qこの物差しは、どうやって決めたのですか?▶
難しさの物差しはC〜Sの4段階。以後の章は、この物差しで読める
標準=CとB。手が出ない難問(S)は3年で0問。難しさの上限が、はっきり見えている試験
どの単元が、どう出るか ― 頻出単元は3年間ほぼ動かない
I6つの大問と単元の一覧
法政第二の出題単元はほぼ固定されています。大問Iは計算の小問集合、大問IIは数の性質と図形の小問、大問IIIは確率、大問IVは放物線、大問Vは円、大問VIは空間図形。この並びが、2023〜2025年でほぼそのまま繰り返されています。
出題単元が動かないのは、あなたにとって大切なポイントです。どの単元が、どのくらいの難しさで、何問出るかが分かっていれば、対策は単元ごとに立てられます。まずは6つの大問を、1つずつ見ていきましょう。
| 大問 | 単元 | 問われている力 | 難易度の出方 |
|---|---|---|---|
| I | 計算の小問集合:因数分解・連立方程式・二次方程式・数の計算 4枠が3年ほぼ固定(2023のみ小数部分)。独立した4問。 |
計算の安定性 | B C |
| II | 数の性質+関数の小問+平面図形の小問+数の計算/場合の数 図形枠が2023年・2024年と2年連続A=前半の隠れ難所。 |
少し難易度が高い小問へのアプローチ | B A |
| III | 確率3問(毎年固定・2024はすごろく設定) 設定は年で変わるが、出題単元は変わらない。 |
日本語を理解し、正しく数え上げる力 | B A |
| IV | 関数・放物線と直線(誘導つき3問) 前の答えを次の問題で使う、誘導つきの大問。問1が起点。3年ともA。 |
誘導に乗って問題を解く力 | A |
| V | 平面図形・円(誘導つき3問) この試験でいちばん深い1問が毎年ここに1つ入る。 |
深い思考力と図形理解 | A |
| VI | 空間図形(誘導つき2問・問2が記述) 問2は毎年、途中式を書く記述。 |
複雑な情報の処理能力 | A |
大問構成は変化なし。動くのは各年単元の中身だけ(難易度は当塾の推定・3年分)。
6つの大問を見ると、傾向がはっきりします。前半(大問I〜III)は独立した小問が中心で、計算は優しいですが、1行ほどの短い文章題が難しい。後半(大問IV〜VI)は誘導つきの大問。差がつく問題(A)は後半に固まっています。同じ難しさの問題を様々な単元で。これが法政第二の骨格です。
II3年42問を単元ごと、難易度別で比較
大問の性格が見えたところで、3年42問全てを単元ごと、難易度で比べます。大半の問題は標準(BとC)の帯に集まり、差がつく問題(A)だけが特定の単元に固まっているのが一目で分かります。前半(大問I〜III)は標準レベルが厚くなっています。後半(大問IV〜VI)の誘導つき大問は、大問全体の評価でほぼ差がつく問題(A)になります。
| 単元(大問) | C | B | A | S | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大問I ― 計算・因数分解 | 1 | 11 | · | · | 12 |
| 大問II ― 数の性質・図形小問 | · | 9 | 3 | · | 12 |
| 大問III ― 確率 | · | 6 | 3 | · | 9 |
| 大問IV ― 関数(3年変化なし) | · | · | 3 | · | 3 |
| 大問V ― 円(3年変化なし) | · | · | 3 | · | 3 |
| 大問VI ― 空間(3年変化なし) | · | · | 3 | · | 3 |
| 計(3年・判定した問題数) | 1 | 26 | 15 | 0 | 42 |
難易度の散らばりは例年変化なし。前半(I〜III)は標準が厚く、後半(IV〜VI)の誘導つき大問はすべて差がつく問題(A)。手が出ない難問(S)は3年で0問(当塾判定)。
III差がつく問題(A)15問は、どの単元で出たか
差がつく問題(A)について詳しく見ていきましょう。A問題は3年で15問。内訳は、前半の最後に6問、後半の誘導つき大問に9問。3年分そのまま並べます。
| 年 | 場所 | 単元 |
|---|---|---|
| 2023 | 大問II 問4 | 平面図形・内接円 |
| 2023 | 大問III 問3 | 確率 |
| 2023 | 大問IV(誘導つき大問) | 放物線と直線・面積の二等分 |
| 2023 | 大問V(誘導つき大問) | 円と長方形・面積 |
| 2023 | 大問VI(誘導つき大問) | 立方体切断・点と平面の距離 |
| 2024 | 大問II 問3 | 数の性質(余りの周期) |
| 2024 | 大問II 問4 | 平面図形・回転・面積 |
| 2024 | 大問III 問2 | 確率・すごろく |
| 2024 | 大問III 問3 | 確率・すごろく |
| 2024 | 大問IV(誘導つき大問) | 放物線と一次関数・長さ |
| 2024 | 大問V(誘導つき大問) | 円・接線・軌跡・面積の最大値 |
| 2024 | 大問VI(誘導つき大問) | 立方体の切断・体積 |
| 2025 | 大問IV(誘導つき大問) | 放物線と一次関数・面積 |
| 2025 | 大問V(誘導つき大問) | 円・角度・三平方・面積 |
| 2025 | 大問VI(誘導つき大問) | 正四面体・最短経路 |
差がつく問題(A)は3年で15問。小問題でも一定数A問題、後半の誘導つき大問は大半がA問題(当塾判定)。
図形[平面・立体]、関数の単元はほぼA問題が出題されるということがわかります。そして次に多いのが場合の数・確率、整数の単元。これらの単元は毎回決まった問題ではなく、その単元の中で様々な種類の応用問題が出題されています。頻出単元は、どのテーマの問題が来ても、苦手なく解くことができる状態を作っておく必要があります。
IV頻出単元のテーマ分析 ― どのテーマが来ても解けるように
単元は固定でも、テーマは毎年変わります。3年間の実物を単元ごとに並べると、その回りかたが見えます。
どの単元も「同じテーマの再演」ではなく、単元の中でテーマが回っています。だから頻出単元は、テーマを選ばず解ける状態まで仕上げる——これが法政第二の単元対策の結論です。
Vくり返し出る、解き方の型(7本)
最後に、単元をまたいで繰り返し顔を出す「型」を7つまとめます。単元は違っても、解き方の骨組みは共通しているものが多いです。先に体になじませておくと、大問ごとの対策が早くなります。
実物の手ざわりは、次章の大問別カードで確かめられます(各大問に1問ずつ、川崎学舎オリジナルの類題つき)。→ 大問別カードへ進む
出題単元は3年間ほぼ固定。だから対策は大問ごとに立てられる
差がつく問題(A)は後半の誘導つき大問に集中(前半の最後に6問、後半に9問)
2025年の6問を、大問別に分析する ― どこを取り、どこで差をつけるか
50分の使い方
法政第二の数学は、100点満点・50分・大問6つ。1問あたりの持ち時間は、当塾の推定でおよそ2.6分です。前半I〜IIIは独立した小問、後半IV〜VIは前の答えを次で使う誘導つきの大問。後半は問1から順に積み上げます。
この章の難易度(C〜S)の物差しは02章のとおりです。各大問の「特徴(5点満点)」は、3年分を実際に解いた当塾の相対評価です。
大問I〜VI ― 大問別に見る(2025年の構成)
I計算の小問集合 ― 独立4問
試験の一番手。2025年は、因数分解・連立方程式(解の利用)・二次方程式・数の計算(根号)の4問。独立した小問で、正しく計算ができればまるごと取り切れる得点源です。過去2年で変化したのは並び順だけ——2023年は数の計算(小数部分)から始まりました。
| 大問I ・ 年度 | 問1 | 問2 | 問3 | 問4 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | B式の計算・因数分解 | B連立方程式・解の利用 | B二次方程式 | B数の計算・根号 |
| 2024 | C式の計算・因数分解 | B連立方程式 | B二次方程式 | B数の計算・根号 |
| 2023 | B数の計算・小数部分 | B連立方程式 | B二次方程式 | B式の計算・因数分解 |
難易度はほぼ全部が標準(B)。変化したのは2024年の問1がやさしい(C)に振れた点と、並び順だけです(band は当塾判定)。
大問Iは、考える大問ではありません。読んだ瞬間に手が動く速度で解き、一発で答えを出し切る必要があります。ここで手が止まったら、それは実力不足ではなく練習不足のサインです。
よくあるミス: 符号の見落としや、式を写す段階での取り違え。
C やさしい:2乗の差を、2段階で因数分解する 目安 2分 ▶
次の式を因数分解しなさい。
a4 − 16b4
答えと解説を見る
a^4-16b^4=(a^2)^2-(4b^2)^2 とみて和と差の積(a^2+4b^2)(a^2-4b^2)に分解し、残るa^2-4b^2=(a+2b)(a-2b)をさらに分解。a^2+4b^2は分解不可。
II一行文章題と図形の小問集合 ― 独立4問
前半の隠れた難所。2025年は、一次関数の式・数の性質・場合の数・平面図形(角度)の4問で、すべてふつう(B)でした。ただし年度によって難易度は変化。2024年は問3の数の性質と問4の図形(回転の面積)がA、2023年も問4の図形(内接円)がA。図形の枠が2年連続でAに振れていました。
| 大問II ・ 年度 | 問1 | 問2 | 問3 | 問4 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | B一次関数の式 | B数の性質 | B場合の数 | B平面図形・角度 |
| 2024 | B放物線と直線 | B式の値 | A数の性質 | A回転・面積 |
| 2023 | B式の値 | B数の性質 | B関数・変域 | A平面図形・内接円 |
2025年は全問ふつう(B)。差がつく問題(A)が出るのは図形と数の性質の枠です。2023年・2024年と2年連続で、最終問の図形がAでした(band は当塾判定)。
大問IIは、標準(B)の枠をきっちり回収する大問です。図形や数の性質で一問だけ手が止まっても、そこに時間を吸われてはいけません。飛ばして後半に進み、時間が余ったら戻ってくる。その判断ができるかどうかが点数を左右します。
よくあるミス: 場合分けの見落としによる答え漏れ。
B ふつう:√(n²−k) が整数になる n を絞る 目安 4分 ▶
√(n²−143) が整数となるような自然数 n のうち、最も大きいものを求めなさい。
答えと解説を見る
√(n²−143)=m とおくと (n+m)(n−m)=143。143=1×143=11×13 で、n最大は n+m=143,n−m=1 → n=72(m=71,72²−143=71²)。
III確率 ― 3問(毎年固定)
確率の3問が、毎年出題される単元です。2025年は色玉(おはじき)を取り出す設定で、3問ともふつう(B)でした。数え上げの正確さがそのまま点になる場所です。過去2年は難易度・テーマが違い、2024年はすごろくで問2・問3がA、2023年は問3がAとなっています。見落とせない条件が重なる年ほど差がつきます。
| 大問III ・ 年度 | 問1 | 問2 | 問3 |
|---|---|---|---|
| 2025 | B確率(色玉) | B確率(色玉) | B確率(色玉) |
| 2024 | B確率・すごろく | A確率・すごろく | A確率・すごろく |
| 2023 | B確率 | B確率 | A確率 |
2025年は3問ともふつう(B)。差がつくのは設定がこみ入る年で、2024年のすごろくは問2・問3がAでした(band は当塾判定)。
大問IIIは、ひらめきではなく丁寧さで決まる問題です。標準問題(B)を落とさず、差がつく問題(A)の1問は場合分けを図に整理して取りにいきましょう。数え上げの正確さが、そのまま点になります。設定を図や表に落として、数え漏れなく、かつ重複させずに数える。それさえできれば、この3問は取り切れます。
よくあるミス: 数え漏れ・条件見落とし・重複した数え方。
B ふつう:3色から1個ずつ取り出す確率 目安 4分 ▶
箱の中に、赤いおはじきが5個、青いおはじきが4個、緑のおはじきが3個の合わせて12個が入っている。よく混ぜてから同時に3個を取り出すとき、取り出した3個の色がすべて異なる(赤・青・緑が1個ずつ)確率を求めなさい。
答えと解説を見る
全体C(12,3)=220通り。各色1個ずつは5×4×3=60通り。60/220=3/11。
IV関数 ― 放物線と直線(誘導つき3問)
放物線と直線を組み合わせた関数の大問が、毎年出題されます。2025年は放物線と一次関数から面積を出す問題でした。3つの小問は誘導つきで、問1が起点。ここを落とすと問2・問3も落としてしまうので注意が必要です。大問IVは、問1〜問3を通した大問全体の評価で、3年とも差がつく問題(A)でした。
| 大問IV ・ 年度 | 問1 | 問2 | 問3 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 交点Aの座標単体ならB流れの中でB | 切片の値単体ならB流れの中でC | 面積→平行な直線単体ならA流れの中でA |
| 段差問2→問3で一段上がる(代入から、面積条件の逆算へ) | |||
| 2024 | 交点のy座標単体ならA流れの中でA | 傾きの値単体ならA流れの中でC | 2交点間の長さ単体ならA流れの中でA |
| 段差山が両端 ― 問2は誘導が大きく効き、問3で再び上がる | |||
| 2023 | 線分の長さ単体ならB流れの中でB | 三角形の面積単体ならB流れの中でB | 面積の二等分単体ならA流れの中でA |
| 段差問2→問3で一段上がる(面積計算から、二等分線の構成へ) | |||
チップは各小問の難易度(当塾判定・目安)。単体なら=その小問が1問だけ独立に出たと見立てたとき。流れの中で=前の問の答えが手元にある前提。2つの差が「誘導の効き」で、2024年の問2のように差が大きい小問ほど、誘導に乗る価値があります。
大問IVは、問1がすべての起点です。問1の座標を確実に取れば、あとは誘導を1本ずつたどるだけです。ここで座標をひとつ取り違えると、問2・問3はまるごと崩れます。最後まで届かなくても、問1・問2の積み上げで部分点が拾えます。
よくあるミス: 問1の座標ミスが後続の問2・問3に連鎖すること。
A 差がつく:放物線と直線を、誘導のまま最後までたどる 目安 8分 ▶
放物線 y=(1/2)x² …① と直線 y=x+a …② が2点A,Bで交わる。A,Bのx座標をp,q(p<q)とする。A,Bからx軸へ垂線をひき、交点をC,Dとする。線分CDの長さが6であるとき、
問1 点Aの座標を求めよ。
問2 aの値を求めよ。
問3 直線②上でx座標が1の点をRとする。放物線①上に点Pを△PARの面積が30となるようにとる。この点Pを通り直線②に平行な直線の式を求めよ。
答えと解説を見る
CD=q−p=√((p+q)²−4pq)=√(4+8a)=6 → a=4、x²−2x−8=0 → p=−2,q=4、A(−2,2)。問3: R(1,5)、P(t,t²/2)で△PAR=(3/4)|(t−4)(t+2)|=30 → t=−6,8、いずれも切片t²/2−t=24 → y=x+24。
V平面図形 ― 円と接線(誘導つき3問)
この試験の最深部。円をからめた平面図形の大問が、毎年ここに置かれます。2025年は円・角度・三平方の定理・面積へとつなぐ流れでした。もっとも手数のかかる1問が毎年ここにひそみ、時間配分もいちばん厚い9分です。大問Vも、問1〜問3を通した大問全体の評価で、3年とも差がつく問題(A)でした。
| 大問V ・ 年度 | 問1 | 問2 | 問3 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 円と接線・角度単体ならA流れの中でA | 線分の長さ単体ならA流れの中でB | 三角形の面積単体ならA流れの中でB |
| 段差問1が山場(角度の文字式)。問2・問3は流れに乗れば定型の計算 | |||
| 2024 | 面積の最大値単体ならA流れの中でA | 接線と長さ単体ならA流れの中でB | 点が描く軌跡単体ならS流れの中でA |
| 段差問2→問3で一段上がる(問3は単体なら3年間で最も深い1問) | |||
| 2023 | 円と長方形・長さ単体ならA流れの中でA | 三角形の面積単体ならA流れの中でB | 斜線部の面積単体ならA流れの中でB |
| 段差問1がいきなり山場。あとは流れに乗ればなだらか | |||
チップの見方は大問IVの表と同じ(単体なら/流れの中で・当塾判定・目安)。設定は毎年変わりますが、円周角・相似・接線から面積や軌跡へつなぐ骨格は共通です。2024年の問3は、単体なら手が出ない(S)=3年・24小問で唯一の問題です。誘導に乗って初めて届く、この試験の最深部です。なお章2の42問の集計は、誘導つき大問を丸ごと1問と数え、流れの中で解いたときの難易度で判定しています。そのため単体ならSのこの問も集計には現れず、S=0問のままです。
大問Vは、この試験でいちばん時間がかかる大問です。円周角・相似・接線のどれを当てるかの判断が分かれ目で、方針が見えないまま突っ込むと時間だけが溶けます。前半で稼いだ時間をここに集め、問1・問2で足場を固め、問3は方針が見えたら解く。それで十分です。
よくあるミス: 方針が立たないまま、最後の小問を深追いしてしまうこと。
A いちばん深い:円に内接する直角三角形・面積最大・軌跡 目安 9分 ▶
線分BCを直径とする円Oがあり、円周上に点Aを AB=6cm、∠ABC=30° となるようにとる(BCが直径なので∠BAC=90°)。点Pは、Aを含まない方の弧BC上をBからCまで動く。点Aを通りAPに垂直な直線と直線PCの交点をQとする。
問1 △ABPの面積が最大になるときの面積Sを求めよ。
問2 点PがCに限りなく近づくときの線分QCの長さを求めよ。
問3 点PがBからCまで動くとき、点Qが描く曲線の長さℓを求めよ。
答えと解説を見る
∠BAC=90°よりBC=AB/cos30°=4√3(直径)、AC=2√3、r=2√3。問1:弦ABは固定でPが弧中点のとき高さ最大→S=9√3。問2:相似からQC=4。問3:∠AQC=60°一定でQの軌跡は半径2の半円→ℓ=2π。
VI空間図形 ― 正四面体・最短経路(誘導つき2問・問2が記述)
試験の最後の大問。空間図形が毎年ここに置かれます。2025年は正四面体の最短経路でした。小問は2つで、問1が起点、問2が記述。問2だけが、この試験で唯一「途中の考え方や式もふくめて」書かせる問題です。過去2年は立方体の切断でしたが、断面を見る力と展開して最短を測る力が問われる骨格は共通。問1・問2を通した大問全体の評価で、3年とも差がつく問題(A)でした。
| 大問VI ・ 年度 | 問1 | 問2(記述) |
|---|---|---|
| 2025 | 正四面体・垂線の長さ単体ならB流れの中でB | 最短経路単体ならA流れの中でA |
| 段差問1→問2で一段上がる(公式的な垂線から、展開の閃きへ) | ||
| 2024 | 切断面への垂線単体ならA流れの中でA | 切断した立体の体積単体ならA流れの中でA |
| 段差なし ― 2問とも重く、誘導の効きが小さい年 | ||
| 2023 | 切断面の面積単体ならB流れの中でB | 点と平面の距離単体ならA流れの中でA |
| 段差問1→問2で一段上がる(面積から、体積を2通りに表す技へ) | ||
チップの見方は大問IVの表と同じ(単体なら/流れの中で・当塾判定・目安)。変化したのは立体の種類だけです。
問1で図の設定を正確につかみます。問2は最後の数値まで届かなくても、鍵となる式を残して途中式を書き切り、部分点を取りにいきましょう。
よくあるミス: 途中式を書かずに答えだけ埋めて、部分点を逃すこと。
A 記述を取り切る:正四面体・垂線上の点で2線分の和を最小に 目安 6分 ▶
1辺の長さが12cmの正四面体PQRSがある。頂点Pから底面QRSにおろした垂線の足をHとする。辺PQの中点をM、辺QRの中点をNとする。線分PH上に点Xをとり、MX+XNの長さが最小になるようにする。このときのMX+XNの値を、途中の考え方や式もふくめて求めなさい。
答えと解説を見る
PH=√(12²−(4√3)²)=4√6。Mは軸方向高さ2√6・軸距離2√3、Nは高さ0・軸距離2√3。軸周りの対称で展開すると直角三角形の斜辺=√((2√6)²+(4√3)²)=√72=6√2。
毎年ひとつだけ書かせる、記述の話
大問I〜IIIは独立した小問、IV〜VIは誘導つき。前半を速く固め、後半は問1から積み上げる大問順の攻め方(後半の誘導大問はいずれも差がつく問題=A)
差がつくのは後半の関数・円・空間と、年により前半IIの図形。記述は大問VIの1問だけ(2025年は正四面体の最短経路)
80点の作り方 ― 単元の役割を分けて、順に積む
I合格ライン宣言 ― 80点はこう作る
合格ラインの目安は、80点に置きます。合格最低点が非公開の学校で、当塾が「ここまで作れれば安心して送り出せる」と置いているラインです。点数はすべて当塾の推定(答えのみ1.0・記述1.5の重みで100点換算)です。
80点は、標準(C・B)と差がつく問題(A)で作ります。標準を全部取ると年度で35〜55点。そこへAを4〜8問——これがこの学校の80点です。だから、どの単元も同じ深さまで仕上げる必要はありません。土台の単元と、勝負どころの単元を分ける。その割り振りから始めます。
II単元はこう出る ― 土台と勝負どころ
5つの単元が3年間どう出たか。「この単元の役割」の列が、この章の結論の半分です。
| 単元 | 役割と優先度(この順の理由) | 出るテーマ | 難易度の出方(42問) |
|---|---|---|---|
| 円・平面図形 | 勝負どころ ◎ 最優先 毎年、最も難しい問題がこの大問(V)。配点も重い。 |
|
A×5B×1 |
| 関数 | 勝負どころ ◎ 最優先 3年とも差がつく問題(A)。問1が起点。 |
|
A×3B×3 |
| 空間図形 | 勝負どころ+記述 ○ 3年ともA。唯一の記述(大問VIの問2)がここ。 |
|
A×3 |
| 確率・場合の数 | 土台+変動枠 ○ 年により2問がAに変化。土台としても落とせない。 |
|
A×3B×7 |
| 数と式・整数 | 土台 維持 大半が標準(B)。毎日の練習で守る土台。 |
|
A×1B×15C×1 |
表は対策の優先度順(◎→○→維持)。優先度は「難易度の出方 × 配点の重さ」から(当塾判定)。役割: 土台=全員が取る・落とすと即差がつく/勝負どころ=合格者がここで差をつける/変動枠=年により勝負どころとなる。テーマ・帯の数え方は3年42問の実データ(当塾の推定)。この試験にS(手が出ない難問)はありません。
IIIいつ何をやるか ― 3STEP
【土台】の単元の穴をゼロにする。大問I(計算)・大問II(小問集合)・大問III(確率)を1問残さず取り切る。
年度通しの実戦。50分で解き切り、見切る練習をする。
IV差がつく問題(A)を、手順ごと1問だけ開く
STEP 2で拾いにいく「勝負どころ」の単元のうち、円の問題を1問。見た瞬間に型を選ぶ——その判定から完答まで、教室の手順ごと開きます。
- 三平方の定理(直角三角形の2辺から残りの辺を出す)
- 3辺しかない三角形の高さ=垂線の足の位置を文字でおき、連立で決める
- 内接円の中心は各辺から等距離で、その距離が半径r
- 面積 S=½×底辺×高さ / 面積を2通りに表して方程式を作る
あなたの得点を最も大きく動かすのは、差がつく問題(A)の正答率です。IIの表で「勝負どころ」とした円・関数・空間——場所は明確になっています。落とした問題は、同じ型の反復で必ず拾えます。今日やることを1つだけ選ぶなら、いまの点数のSTEPの到達基準を、過去問で1回測ってみてください。
よくある質問 ― 受験生と保護者の6つの疑問に答える
Iよくある6つの質問
Q高校範囲の先取りは必要ですか?▶
Q過去問は何年分やればいいですか?▶
Q神奈川公立との併願でも、両立できますか?▶
Qいま中3の秋で50点です。間に合いますか?▶
Q塾に行かずに受かりますか?▶
Q記述の部分点はどれくらいもらえますか?▶
ここまで読んでくれて、ありがとう。法政第二の数学は、才能で決まる試験ではありません。初めて見て解ける必要がある問題は0問、範囲外の知識が要る問題も0問。正しく努力した子が、正しく届く試験です。前半の大問を落とさず、誘導つきの大問を問1から積み、記述で途中式を書き切る。そのいつも通りを、淡々とやり切ってください。あなたが3年分でやってきたことは、必ず本番の点になります。落ち着いて、いってらっしゃい。
先取りは要らず、過去問は直近3年分の周回で足りる(範囲外の知識が要る問題は3年で0問)
当日は前半の(1)を落とさず、誘導つきの大問を問1から積み、記述で途中式を書き切る(記述は大問VIの1問だけ)
川崎学舎では、2023〜2025年の法政第二の数学・全42問を1問残らず仕分けしました。この記事の表とグラフの元になった分析集を、そのまま受験生にお渡しします。
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川崎駅の少人数制進学塾・川崎学舎の塾長。早慶・MARCH附属を志望する生徒を毎年指導し、法政第二をはじめとする附属校入試の過去問を1問ずつ分析してきました。本記事はその実データにもとづき、法政第二の数学を「どこで差がつくか」「何を固めれば80点に届くか」の視点で書いています。